不安と緊張と興奮のないまぜになった表情を浮かべる貴島友一は、傍らに寄り添う妻の顔を見た。
智香のおっとりとした清楚な顔には、友一と同種の、しかしどちらかと言えば不安と緊張が主の表情が浮かんでいる。
薬指に指輪の嵌まった左手が、不安そうに彼の腕に添えられている。
夫の友一が二十六歳、妻の智香が二十五歳の二人は、幼い頃から互いだけを見てきた幼馴染同士であり、
そのため、二十代も半ばに達した今、軽い倦怠期を迎えていた。
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お互いから新鮮味が失われ、互いに異性としての魅力を感じなくなりつつあるのである。
彼らはその倦怠期を打破するため、友一の発案により、とある試みに臨もうとしているところである。
円らな瞳が真っ向から友一を見据えた。そこには不安と恐怖があった。
乗り気でない妻を押しきる形での決定だったため、友一の心はずきりと痛んだ。
「なあ、智香、どうしても嫌なら……」
思わず口にしかけた言葉は「いいの」というやや強い言葉に打ち消された。
「だって、見られるだけなんでしょ。それなら……恥ずかしいけど、別に……」
「お前がそう言うなら……」
二人は、スワッピング相手募集用の会員制サイトで知り合った青年を待っているところである。
本当はカップル同士のスワッピングをする予定だったのだが、向こうの都合で女が来られなくなったため、急遽、青年単独での参加となった。
まだ躊躇いのあった二人は、そういう事情ならばと半ば安堵しつつ中止にしようとしたのだが、
「ホテル代は全額負担するので、愛撫を、それが無理でもせめて見学だけさせて欲しい」
との熱心な頼みを拒みきれず、こうして会うこととなったのである。
待ち合わせ時間の五分前、メールで確認した通りの外見の青年が近づいてきた。
よく筋肉のついた均整の取れた体をした青年だ。
待ち合わせの相手は、サイト上のプロフィールによれば、
登録名はT・S(後のやりとりで「サトウタロウ」という名前だとわかった)、
年齢は二十歳、身長は百七十二センチ、体重は七十四キロ、
ペニスサイズはS(直径四センチ以上、長さ十八センチ以上)で雁高の非包茎、テクニックに自信あり、
信頼度は高(最高、高、並、低の第二位、プレイ経験者からの評価の平均で決まる)、とのことだった。
また、プレイ体験者の感想は「とても燃えました」とか「彼女があんなに乱れるのは初めて見ました」とか
「定期的にお願いしています」などと高評価だった。
近寄ってくる青年も、ペニスサイズやテクニック云々はともあれ、大体プロフィールの通りのように思われた。
青年が二人を見て「あの」と声をかけてきた。
「キジマご夫妻ですか」
「サトウくん?」
友一が答える。
相手は頷き、申し訳なさそうに頭を下げた。
「はい。サトウです。今日はこちらの都合で予定を変えた上に、無理なお願いまでしてしまってすみません」
「あ、いやいや、いいんだよ。どっちかと言えば予定が変わって安心した面もあるし……
それにホテル代も出してくれるんだろう。文句なんかないよ。折角会ったんだし、今日はなるべく楽しくやろう」
「そう言っていただけると嬉しいです。ところで、そちらがトモカさんですか」
「え、は、はい……」
智香が小さな声で頷き、視線を避けるように友一の後ろに隠れた。
友一はそんな妻の様子に昔の新鮮な初々しさを思い返しながら、苦笑した。
「悪いね。智香はちょっと緊張してるんだ」
「そうですか。まあ、無理もないですよ。こういうの、初めてなんですもんね。
それにしても、可愛い奥さんですね。羨ましいですよ」
「嬉しいことを言ってくれるね。まあ、立ち話も何だし、早速ホテルに行こうか。もう予約を入れてあるんだろう」
「ええ、長引いてもいいように、一応、泊まりで。じゃあ行きましょうか。奥さんと一緒に歩いてもいいですか」
「一緒に、かい」
「はい。恋人みたいに。奥さんは他の男性に触れて旦那さんの良さを確認して、
旦那さんは嫉妬して奥さんへの愛情を確認するんです」
友一は渋い顔をしながらも、スワッピングに関しては大先輩である六つも年下の青年の言うことを受け容れた。
「ありがとうございます。じゃあ奥さん、こっちへ……」
「あ……」
サトウが智香の手を引いたと思った瞬間、妻の体がサトウの腕の中に転がり込んでいた。
いやらしい手つきで腰に腕を回しながらサトウがにこやかに言う。
「奥さん、凄く良い体じゃないですか。本当に、キジマさんが羨ましいです」
「あ、あの、サトウくん、手が……」
智香が逃れるように身を捩る。腹側に回されたサトウの手が太腿や下腹部を撫でている。
人通りの皆無でない路上で妻が公然と体を触られている。
友一は不快感と微かな興奮を覚えながら、やや強い口調で制した。
「サトウくん、愛撫までは許すけど、場所はわきまえてくれ」
「あっ、すみません、奥さんが魅力的だから、ちょっとむらっと来ちゃって……気をつけます」
サトウは神妙に頭を下げ、智香の体を弄り回すのをやめた。
以後はおかしなこともせず――それでも夫としては不愉快だったが――普通に腰を抱いて智香をエスコートしていく。
友一は、スワッピングのような異常な趣味の持ち主ではあるが、
少し考えの浅いところがあるだけで、根は素直で誠実な人間のようだ、とサトウのことを評価した。
雑談しながら歩くこと十五分、一同はホテルの部屋に着いた。
上着を脱ぎながらサトウが二人に言った。
「早速触らせて貰っていいですか」
今日の手順は、まずベッドでサトウが智香を愛撫し、それが済んだら、
一旦友一と智香がシャワーを浴び、ベッドで二人がセックスするという形になっている。
「で、でも、まだシャワー浴びてない……」
智香が緊張に顔を強張らせながら言う。
友一は、それが本心でないことを知っている。二人は出発前に念入りに体を清めてきたのだ。
気にするほどの汚れはない。これは単なる時間稼ぎなのだ。
友一は智香に助け舟を出そうとしたが、サトウの方が早かった。
智香の手を取り、じっと顔を見つめて言う。
「奥さん、僕、女の人の匂いが好きなんです。どうせ奥さんを抱けないんですから、
せめて、それくらいは許してください」
「で、でも……」と智香は躊躇いを見せたが、サトウの再三の頼みに、遂に押し切られてしまった。
ベッドまで移動し、「脱ぎますね……」と蚊の鳴くような声で呟いて、智香が服を脱ぎ始める。
他の男の前で妻が肌を晒すことに暗い気持ちを抱きつつ、友一もシャツのボタンを外し始めた。
サトウもそれを見て脱衣を始めた。
最も早く下着姿になったのはサトウだった。
後はズボンを下ろすだけの友一と、スカートを下ろしてストッキングに手をかけていた智香は、それを見て硬直した。
二人の視線の先には、堂々と晒された逞しい体があった。
股間は早くも戦闘態勢に入り、Sサイズが嘘でないことを誇示している。
「わあ……」
智香が讃嘆とも驚愕ともつかない声を上げてサトウを見ている。
その視線は逞しい体の各所――股間もだ――に注がれている。
友一は自分がサトウに動物の雄としてどこまでも劣っていることを理解せざるを得なかった。
雄としての敗北感と共に、雌を取られるのではないかという焦燥感と嫉妬心が湧き起こってきた。
サトウが苦笑と共に言った。
「そんなに見られると恥ずかしいです。でも、そんなに気になるんでしたら、
いっそ、パンツも脱いじゃいましょうか。勿論、その時はお二人にも裸になって貰いますけど……」
「いえ、あの、それはちょっと……」と慌てて手と首を横に振る智香を制し、友一は頷いた。
「……ああ、お願いするよ」
妻が肌を晒すのはなるべく先延ばしにしたかったが、
それ以上に、妻がサトウの巨大なものにどういう反応を示すかを知りたい欲求に駆られたのである。
元々友一は、妻が他の男に抱かれる様を見せつけられるのなら、
いっそ巨根の持ち主に貫かれる様を見てやろうではないか、という思いからSサイズのサトウを選んだのだ。
幸か不幸かそれが果たされないことが決まった今、彼の興味は、せめて妻がそれを見た際にどう反応するかに集中していた。
「ユウくん!?」
「どうせ、後でそうなるんだから……ちょっと早くなっただけだよ」
非難の声をそうなだめ、重ねて友一はサトウにパンツも脱ぐよう促した。
サトウがパンツを下ろした瞬間に飛び出してきたものに、二人は息を呑んだ。
三日月のように反り返り、下腹部に張り付きそうな急角度で天を目指すそれは、子供の腕のような凶器だった。
年齢にそぐわない百戦錬磨を示すように黒光りしており、露出した先端は赤黒く膨らんで傘を広げ、
幹との境目には深い谷と山がある。付け根の下には握り拳ほどもある袋がぶら下がっている。
友一は委縮したように皮の中に引き籠もった自らの股間を見下ろし、決定的なまでの戦力差の存在を悟った。
敗北感に苛まれながら妻を見ると、智香は目を見開いたまま、サトウの股間を凝視していた。
智香がちらりと友一の股間に視線を移すが、友一と目が合うと、気まずそうに視線を逸らした。
取り繕うように下着姿になり、向けられるサトウの視線と友一に配慮してか、
体を隠しながらおっかなびっくり下着を脱いでいく。
清楚な智香がペニスを見比べている。自分のものと今日会ったばかりの男のものとを比較している。
清純な妻が見せた行動に、友一は困惑と興奮を禁じ得なかった。
「やっぱり思った通りだ。むちむちした良い体ですね。素敵ですよ、奥さん」
友一が初めて味わう感情に戸惑っている間にも、サトウは行動を進めていた。
彼女の親兄弟と友一以外の男の目に触れたことのない、智香の清純な体を舐め回すように見ている。
掌に収まりきらない豊かな胸と清楚な乳首、自然な曲線を描く腹から腰にかけて、
肉感的な尻と太腿、きめ細やかな肌、という智香の体をサトウはいたく気に入った様子だった。
「まずは軽くいきましょうか」
サトウが後ろから智香を抱き締めた。
「ひっ」と声を上げて智香が身を捩るが、サトウは体の前に腕を回して離さない。
自分しか触れたことのない妻の体が、目の前で他の男に抱き竦められている。
裸の男が裸の妻を、肌と肌を合わせて抱き締めている。友一は喉がからからに渇いていくのを感じた。
「奥さん、お尻に当たってるもの、何だかわかりますか」
智香は顔を紅潮させ、恥ずかしげに首を振った。わからないのでなく言いたくないのだろう。
サトウは智香の尻にあの巨大なものを押し当てているのに違いなかった。
あの自分のものとは比べ物にならないペニスが妻の体に触れていると思うと、
胸の辺りが冷たくなって嫌な汗が出てくると共に、なぜだか腹の底が熱くなってくる。
「ほら、旦那さんにも聞こえるように、ちゃんと答えてください」
腰を動かしながら、サトウは慣れた調子で智香を言葉で嬲っている。
智香は涙目になりながら、か細い声で「おちんちん……」と答えた。
普段ならば恥ずかしがって絶対に口にしないであろう言葉だ。早くも雰囲気に中てられつつあるらしい。
「答えてくれたお礼をしますね。顔こっち向けて……」
言うが早いか、サトウは智香の顔を横に向けさせて顔を近づけ、驚いたように開いた口に唇を当てた。
智香が抵抗するように身を捩り、助けを求めるように友一を見た。
だが友一は、救いを求める視線を受け止め、頷いた。それはキスの許可だった。
ショックを受けたような顔をした後、諦めたのか、智香は目を閉じた。
抵抗が止んだのをよいことに、サトウは智香の口の中にまで攻め込んだ。
口を塞ぐように唇を当て、舌を滑り込ませている。鼻にかかった息遣いと淫らな水音が響く。
その間も腰は尻に擦りつけられており、片方の手は友一以外の男が触れたことのない胸を撫でるように揉んでいる。
手の中で智香の大きな胸が柔らかく形を変えている。
やがて、最初は戸惑い、拒むように身を捩っていた智香に変化が訪れていた。
逃れようとしていた唇は積極的にキスに応じ始めているし、
頭を押さえる必要のなくなった手はいよいよ本格的に胸を弄び始めている。
一方で、抵抗するようにサトウの手を押さえていた手は、胸に導こうとするかのように優しく添えられていた。
「キジマさん、奥さんのおっぱい凄いですね。ほら、手に余っちゃう」
友一には返事をする余裕も、抗議する余裕もなかった。
妻が目の前で弄ばれ、しかもそれを受け容れつつある様子に釘付けである。
「どれどれ、こっちの方は……ああ、もっさもさですね」
「や、は、恥ずかしい……」
「僕は毛の濃い女性の方が好きなんで、こういうのは凄く興奮します」
サトウの手は智香の下腹部に滑り降りており、濃い目の陰毛を弄んでいる。
友一は、指がそこで停まってくれることと、その先に進んでくれること、その矛盾する二つの願いを同時に抱いた。
願いは一つだけ叶い、もう片方は叶わなかった。
「うわ、凄い。とろとろだ。奥さん、キスとおっぱいだけでこんなになっちゃったんですか。
感じやすいのかな。それとも、欲求不満?」
「やっ、駄目、やっ、ああ……!」
サトウの手が動くと水気のある音が響いた。それは友一が今まで聞いたことのない音だった。
智香は蠢くサトウの手を必死に押さえ、押し殺した声で啼きながら、脚をくねらせている。
妻が見せる痴態に友一は驚かずにいられなかった。
きっと、サトウが言うように、感じやすいからでも欲求不満だからでもあるだろうが、それだけが理由ではない。
スワッピングという異常な状況で興奮していることもあるだろう。
だが、一番の理由は、サトウの愛撫が巧みだからに違いない。友一のそれよりも。
友一は唇を噛んで目の前の光景を見守った。
「ほら、奥さん、声を我慢しないで……旦那さんもその方が興奮しますよ。
ほら、旦那さんのチンポ、もうあんなです。奥さんを見て興奮してるんですよ」
その言葉にはっとして股間を見ると、確かにそこには興奮してそそり立つものがあった。
しかも、その猛々しさは普段の比ではない。智香が初めて体を開いてくれたあの高校二年生の夏の日に匹敵する。
しかし、その人生の中でも屈指の勃起も、あの巨大なものを目にした後では、感動よりも失望が大きい。
今までで最大の状態でも、何の気負いもなしに立ち上がったあれに遠く及ばないのだと、格の差を思い知らされた気分だ。
濡れた瞳で彼を見ている智香も似たような失望を味わっているのかもしれない。
後ろから押しつけられるものと、目の前で立ち上がっているものの哀れなほどの質量の違いを、
智香はどう思っているのだろうか、と友一は思った。
そこにあるのは失望か、嘲笑か、それとも変わらぬ愛情か。
サトウの言葉が効いたのか、智香の声が大きくなった。
嬌声を上げ、サトウが耳を甘噛みしながら何事かを囁くと、
「ユウくん、どうしよう、凄いの、凄く気持ち良いの!」と声を張り上げる。
その顔は女の顔へと変わろうとしていた。
もう一度口で口が塞がれた直後、手品のようにサトウの手が閃き、智香が全身を震わせた。
電気を流された魚のように震え、ぐったりとサトウに体を預けた。
「あ、キジマさん、奥さん、イッちゃったみたいですね。感じやすくて可愛いです」
抱き留めた体をなおも弄びながらサトウが朗らかに言う。
友一は何と答えるべきかわからず、曖昧な笑みを浮かべるばかりだった。
「じゃあ、ベッドに連れていって続きをしますね」
サトウは智香の体を軽々と抱き上げた。
「お、おいおい、セックスはなしだって言っただろ!」
続きという言葉からはそれしか連想できなかった。
「やだな、違いますよ。本番ができないんだから、せめてたっぷり愛撫をさせて欲しいっていうだけです。
ねえ、愛撫だけならいいでしょ、キジマさん」
智香をベッドに下ろしてゆっくりと覆い被さったサトウが友一を見た。
友一にはその目が、彼の男としての器の小ささを笑っているようにも、抑えがたい欲求の捌け口を求めているようにも見えた。
智香も彼を見ていた。涙の光るその目は、しかし情欲にも濡れている。
抑えがたい疼きに流されそうになる自分を止めて貰いたがっているのか、
はたまた、疼きに流されていくことの許しを求めているのか。
どちらなのか、友一には判断がつかなかった。
友一は苦悩したが、どうせ一線を超えることはないのだから、と自分を納得させ、結局、流れに身を任せることにした。頷き返す。
直後、また悩ましげな吐息と水っぽい音が響き始めた。
覆い被さったサトウが智香の唇を奪い、智香がそれに応えているのだ。
流石に自分から腕を絡めこそしていないが、その手は控え目にサトウの腕に添えられている。
友一には、それが力の籠もった抱擁のようにすら見えた。
体の芯が冷えていくような感覚に襲われながら椅子を運び、ベッドの近くに腰を下ろす。
開かれた智香の口が咀嚼するように動き、何かを飲み下すように白い喉が動く。
それと共に、唇の合わせ目から唾液が零れ落ちる。智香はサトウの唾液を飲んでいるのだ。
しかも、それが決して強制的なものでない証拠に、サトウの唇が離れると、智香はそれを追いかけるように顔を動かしている。
離れていく舌をしゃぶるように引き留めることさえしている。まるで恋人や夫婦のように親密なキスだった。
散々唇を征服したサトウは、顔を離し、体を少しずつ下へとずらしていく。
首筋を撫で、火照った肌に唇を寄せ、胸元へと向かう。
豊かな胸に赤ん坊のように埋めた顔を動かすと、押し殺した喘ぎが上がった。
サトウは友一に見せつけるように豊満な胸を揉みしだき、或いは張り詰めた桃色の乳首を口に含んだ。
しばらく続けていくと、智香の手がサトウの頭に触れた。
もぎ離そうというのとも、押し付けようというのともつかない触れ方だ。
しばらく胸を楽しんだ後、サトウは今度は体を上にずらし、腋へと顔を寄せた。
何をしようとしているのかは一目瞭然だったが、友一にはそれが真実だとは思えなかった。
そんなところを舐めるなど有り得ないことなのだ。
腋を開かされた智香が焦ったような声を上げた。
「そ、そこは、恥ずかしいからっ」
「いいからいいから」
サトウは意に介する風もなくそこに顔を近づけ、舌を這わせた。くすぐったさと恥ずかしさを堪えるような声が上がる。
「や、やだ、くすぐったいっ……駄目っ、こんなの……汚いからっ……」
「ここ舐められるのは初めてみたいですね。勿体無いな。ここも立派に感じる場所なのに。
折角だから、僕がここでも感じられるように、奥さんのこと、躾け直してあげますね」
乳首を弄りながらサトウが笑う。
少し経つと、智香の声が艶を帯び始めた。性感を刺激された女の喘ぎだ。
両方の腋を散々に舐め回された智香は脱力し、荒い息遣いと共に豊かな胸を上下させている。
サトウはそのまま更に体を下へとずらしていった。
いよいよ智香の大事な部分にサトウの手が伸びるのか、と友一は息を呑んだが、
幸か不幸かそうはならなかった。均整の取れた体は股間を無視して足先へと下がっていった。
サトウは足を掴むと、あろうことか、そこに舌を這わせた。
智香が驚きの声を上げて足を引こうとするのを捕まえ、足の裏を舐め回し、
指一本一本を口に含み、膝裏を舐め、太腿に口づけ、丹念に愛撫を加えていく。
智香の反応は腋の時と同様だった。くすぐったさと恥ずかしさはやがて気持ち良さに変わったのだ。
妻の体が開発されていく様を目の当たりにして、友一は興奮と絶望を同時に味わった。
性的なことに未熟な妻の体が少しずつ開発されていくことへの興奮。
妻の体を開発しているのが自分ではないことへの絶望。それが友一の心の中でどす黒くわだかまっている。
再びサトウが体を動かした。脚を開かせ、その間に顔を寄せる。
「いや、やめて……」
智香が羞恥の声を上げて脚を閉ざそうとするが、サトウの力強い手に押さえられ、逆に余計に開かされてしまう。
「凄く毛が濃いんですね、奥さん。オマンコ見えないじゃないですか」
サトウが猫の毛並みを楽しむように智香の下腹部を撫でている。
「お、お手入れするの、怖くて……だらしなくて、ごめんね……」
「僕はこういうの好きですよ。とってもエッチで興奮します」
「あっ、駄目、やめて、見ちゃ嫌……!」
智香が泣きそうな声で訴えかけるが、サトウはそれが聞こえていないかのように、
智香の濃い目の陰毛を掻き分け、裂け目を露出させた。
「凄い。毛はこんななのに、オマンコは中学生みたいだ」
サトウが感嘆の声を上げるのは無理もない。友一が大事に扱ってきたこともあり、
智香のそこは酷く綺麗な筋を描いている。十代の清純さと端整さを保っている。
「キジマさん、奥さんのオマンコ、凄く可愛いですね」
サトウにそう言われても、友一はどう返事をしたものか迷い、結局、気まずい思いで目を逸らすばかりだった。
サトウは特に返事など欲していなかったらしく、何事もなかったかのように智香の股間に注意を戻した。
「中はどんなかな……あ、白い汁が零れてきましたよ、奥さん。今までので感じちゃったんですね。あ、勿体無い……」
そのまま顔を埋め、犬が餌を貪るような音を立て始める。
智香の体がびくりと震え、焦ったような声が上がった。
「やっ、吸っちゃやだっ、音立てないでっ……は、恥ずかしいよ、ねえ、サトウくんっ、あっ、ひいっ……!」
サトウは構わずそこを口で責め続けた。智香は手で顔を覆って啜り泣くような喘ぎを洩らし、
陸に打ち上げられた魚のように体を躍らせた。
それは友一が初めて見る反応だった。初めて聞く「雌」の声だった。
未だかつて目にしたことのない濡れ方であり、未だかつてしたことのないほどに野性的な責めだった。
幼い頃から知っている妻が他の男の手によって自分の知らない姿を晒していく。
その光景に、友一は苦痛に満ちた異様な昂りを覚えた。
股間に強い疼きを覚えて視線を下ろし、愕然とした。
知らず知らずの内、彼は精一杯に立ち上がったものを扱き立てていたのだ。
「糞っ」と悪態をついて手を離す。
その間にもサトウの責めは続いていて、股間を貪る頭を押さえたまま、甲高い声を上げて智香が身を仰け反らせた。
何度か震えた後、脱力してぐったりとベッドに体を投げ出す。
だが、サトウの責めに容赦の二文字はなかった。
達した直後の敏感になった体をそれまで以上の荒々しさと細やかさで責め続けている。
「あっ、ちょ、ちょっと待ってっ……あっ、やっ、あっ、ま、まだイッた、ばかり、だからっ……ゆ、許してっ、休ませてぇっ……!」
サトウが智香の股間を解放したのは、智香が更に三回ほど絶頂に達してからだった。
顔を離したサトウは、全身を火照らせ、汗ばませた智香に再び覆い被さった。
「おい、もういいだろう!」
とうとう堪え切れなくなり、友一は腰を浮かせて、半ば怒鳴るように言った。
これ以上放っておくと取り返しのつかないことが起こるような気がした。
「最後にキスするだけですよ。そうしたら、キジマさんと交代しますから」
それならば、と友一は、不承不承ながらも引き下がり、腰を下ろした。
サトウは智香と、夫婦や恋人と言うよりは不倫中の男女のように濃厚なキスを交わした。
見守る友一からすれば長過ぎるほどに長いキスを終えた二人は、二言三言言葉を交わしているようだった。
智香の股間を指先で弄びながら、サトウが困ったような顔で友一を見る。
「奥さん、チンポが欲しくなっちゃったみたいで、僕のを入れて欲しがってるんですけど、どうしましょう」
「な、何だって?」
友一はサトウの言葉が理解できなかった。
寄りにも寄って智香がサトウのものをせがんでいるなど、サトウの口から出任せとしか思えない。
「ち、違うの、ユウくん!」
股間を弄られながら智香が発した、慌てたような言葉に、友一は深い安堵を覚えたが、続く言葉に一気に叩き落とされた。
「あのね、サトウくんがね、私と、その、エ、エッチ……したいって言うから……
ユウくんに訊いてみようって……ユウくんがいいなら、私も……」
サトウが言葉を継いだ。
「キジマさん、メールで言ってたじゃないですか。
奥さんがデカチンで犯されてるのが見たいって。そのためにチンポの大きい僕を選んだんだって」
「えっ……そ、そうだったの、ユウくん」
驚いたような顔で智香が友一を見る。
友一は返答に窮すると共に、なぜこのタイミングでそれを言うのだ、とサトウへの苛立ちを覚えた。
人を誘惑する悪魔めいた態度で、サトウが友一の代わりに答えた。
「そうですよ、奥さん。旦那さんは、奥さんが大きなチンポを突っ込まれて
気持ち良くなっちゃってるのを見たいって言ってたんです。僕の彼女が来てれば、そうなるところだったんです。
ねえ、奥さん、奥さんさえよかったら、このまま僕達は最初の予定通りにしましょうよ」
言われた智香が、どうしてよいかわからない、といった顔で友一を見た。
その目はサトウの提案を拒んで欲しがっているようにも、許可を出して欲しがっているようにも見えた。
「ねえ、キジマさん、一言、やっていいって言ってくれれば、キジマさんが見たがってたものを見られるんですよ」
矛先は友一にも向いてきた。
友一は激しい葛藤に襲われた。受け容れるべきか、拒むべきか。
また、そもそも普通であればどうするかなどわかりきった問いで悩んでいること自体に気づいた時、彼は愕然とした。
それはつまり、彼が最愛の妻を別の男の手に任せる願望を抱いているということに他ならない。
彼はサトウに大事な部分を責められて悶える智香の姿を目の当たりにした時の異常な昂りを思い出した。
あれこそはつまり、その背徳的な願望が満たされていく快感だったのではないか。
自分は、妻が他の男に抱かれ、自分の知らない顔を見せていく姿を見たくて堪らないのではないか。
そうした姿は酷く興奮をそそるものではないのか。そんなことを考えた。
長い葛藤の末、友一はサトウの申し出に同意した。
「わかった……ただし、智香が嫌がることはするなよ」
「勿論ですよ。たっぷり気持ち良くしてあげますから、キジマさん、そこでじっくり見ててくださいね」
言うなり、サトウが体の位置を調整し、開いた脚の間に身を割り込ませ、腰と腰を合わせた。
先走りを滴らせる凶悪な先端が、草叢に隠れた智香の裂け目に押し当てられた。
智香が不安そうな声を上げる。
「あ、あの、サトウくん、ゴムは……」
「おい、避妊はちゃんとしてくれないと困るぞ」
「でも、その方が興奮するでしょ。お二人とも、生入れも中出しもまだしたことないって話じゃないですか。
初めての中出しが旦那さん以外って、燃えませんか」
「な、何馬鹿なことを……」
そう言いつつも友一は、自分以外の男が智香に最初に中出しする、という想像に寒気のするような快感を覚えていた。
「そんなことになったら、嫉妬と後悔で倦怠期なんて一発で吹っ飛びますよ。
もう絶対に相手を離さない、もう絶対に相手以外には触らせない。余計に夫婦仲が固まりますよ」
「で、でも、私、ユウくん以外の赤ちゃんなんて、産みたくないよ……」
「避妊なら大丈夫ですよ。アフターピルを持ってますから、後でお渡しします。
僕はそういう方面にもコネがあって、それだから、あんなに高い信頼度をつけて貰ってるんです」
智香は少し考え込む様子を見せたが、入口に押し当てられている逞しいものを物欲しそうに眺めた後、
意を決したように友一に視線を寄越した。
「あのね、ユウくん……私、ユウくんがいいなら、いいよ」
決断は友一に委ねられた。サトウも智香も、期待するように、圧力をかけるように、友一を注視している。
駄目押しにサトウが言った。
「どうせやるなら、徹底的にやりましょうよ。
中途半端じゃ、中途半端なことにしかならなくて、却ってギクシャクしちゃいますよ」
その言葉が決定打となったわけではない。ただ、結論自体はその論法と酷く似ていた。
ゴムをつけた上での挿入も、中出し前提の生挿入も、挿入という点、一線を超えたという意味では変わらない。
ならば、どうせならば行き着くところまで行った方が、せめて性的興奮くらいは満たせるだろう。これが結論だった。
友一は無言で頷いた。
「じゃあ、入れちゃいますよ。奥さん、僕のは大きいですから、力抜いてくださいね」
友一の気が変わる前に済ませてしまおうという魂胆か、サトウは押し当てたものをゆっくりと沈めていった。
毛深い裂け目を押し拡げて、子供の腕のような凶器が潜り込んでいく。
「あっ、くぅっ……!」
智香が苦しげに表情を歪める。
「奥さん、大丈夫? 痛い? ゆっくりするから、怖がらないでね」
覆い被さったサトウが、優しく頬を撫で、キスを繰り返し、優しい言葉をかける。
その間も腰は進むが、少し進んでは少し戻る、という具合で細心の注意を払っている。
友一はその光景を眺めながら、非常に嫌な連想をしてしまい、慌ててそれを打ち消そうとした。
その連想とは、彼が智香の処女を受け取った時のことだった。
あの時も、丁度、あんな風に痛がる智香をなだめながら進んだものだった。
ただし、あの時とこの時には大きな違いがいくつもある。今の智香は処女ではないし、
あの時とは違って、声と表情には苦痛以外の甘い快感の色も混ざっている。
抱いている男の方も童貞ではなく、非常に手慣れている。
そして何より、そこにいるのは友一ではない。それが何よりも口惜しかった。
やがて二人の下腹部が密着した。
友一は何か取り返しのつかないことが起こってしまったような感覚に襲われながら、
裸で絡み合う二人がキスを交わすのを眺めていた。
キスの雨を降らせながらサトウが甘く囁く。
「ほら、奥さん、全部入りましたよ」
「入った……の?」
「全部入りましたよ。どうです、生のチンポは?」
「凄く……熱い……それに、すべすべしてる……」
熱に浮かされたような声と表情で智香が答える。
「旦那さんのと比べてどうですか」
智香は答えず、窺うように友一を見た。言ってもよいかどうか、目で問いかけているのだ。
友一はもう腹を括っている。歯を食い縛りながら頷いた。
智香が喘ぎながら言う。
「凄く、大きくて……硬くて……何だか、お腹が破裂しちゃいそう……」
「大丈夫ですよ。最初は優しく動きますから。
さあ、手と足を僕に絡めて、しっかり掴まって、旦那さんのより大きい生チンポを楽しんで……」
智香が言われた通りに手足を絡めてしっかり抱きつくと、サトウはキスを繰り返しながら、体全体を揺するように動き出した。
ベッドがゆっくりと軋み、組み敷かれた智香が苦しげに息を吐き出す。
だが、智香の苦しそうな息遣いも、すぐに甘く穏やかなものに変わっていった。
サトウが少しずつ動きを大きくしていくにつれ、甘い声も大きくなっていく。
腰を円運動させながらサトウが友一の方を向いた。
「キジマさん、奥さんのオマンコ、最高じゃないですか。締まりはいいし、汁気も程々だし……
生入れしたことないなんて勿体無いですね」
「や、やだ、そんなこと言わないで……ユウくんが、見てるのに……!」
「本当、名器ですよ、このオマンコ。でも、いくら名器でも磨かなきゃ宝の持ち腐れですからね。
今日はキジマさんの代わりに、僕が徹底的に磨いてあげますね」
そう笑い、サトウは腰の動きを円運動から前後運動に変えていった。
結合部から聞こえる水音が大きくなり、それと共に智香の押し殺した喘ぎも艶を帯びていく。
友一は最愛の妻が巨大なもので体の中を掻き混ぜられている様子を茫然と見つめていた。
妻の性器の具合を評価されるなどという屈辱を受けても、現実感がなさ過ぎて、咄嗟に対応ができなかった。
サトウが腰の動きを大きくした。もう普通の性交とほとんど変わらない動きだ。
「奥さん、大分慣れてきましたね。もう痛くないでしょう」
「うん、あっ、い、痛くっ、あぁんっ、な、ないよっ……」
「むしろ気持ち良い?」
「ぁっ、ひっ……き、気持ち、良いよぉ……」
「旦那さんとどっちが?」
「い、言えないぃっ、そんなの、言えないよぉっ……!」
「そうですか。じゃあ、今は言わなくていいですよ。それより、旦那さんと言えば……
キジマさん、繋がってるところ、みたいですよね」
先に反応したのは智香だった。
「駄目、駄目駄目駄目ェっ! そんな酷いの、嫌ァ……!」
「奥さん、奥さんだけが気持ち良くなってちゃ、旦那さんが可哀想でしょ。
旦那さんは奥さんが僕のチンポでヒイヒイ言ってるのを見て気持ち良くなってるんだから、
奥さんも協力してあげなきゃ……ほら、見て、旦那さん、チンポ弄ってますよ」
言われて友一は、いつの間にか、自分が股間のものを扱いていることに気づいた。
それはここ数年では見られないほどに力強く、結婚前、まだ十代だった頃のように力強くそそり立っていた。
「ユ、ユウくん……あんなに……興奮、してるんだ……私が、サトウくんと、エッチしてるの、見て……」
智香が驚愕と失望の入り混じった眼差しを友一の顔と股間に注ぐ。
ペニスから手を離した友一が弁解の言葉を述べる前にサトウが言った。
「だから、繋がってるところ、見て貰いましょうよ」
そのまま上体を起こし、結合部が友一に見えやすいように微妙に体の向きを変えた。
智香が両手で顔を覆った。
「い、嫌ァっ、ユウくん、見ないでぇっ!」
「そんなこと言ってますけど、奥さんのオマンコ、ぎゅうぎゅう締めてきますよ。見られて興奮してるんじゃないですか」
繋がっている部分が友一の前で露わになった。
「見てくださいよ、キジマさん。奥さんのオマンコ、涎垂らして僕のチンポ美味しそうに食べてますよ」
思わず友一は、妻とサトウの生々しい結合部分を注視してしまった。
濃く生い茂った草叢の中に黒々とした太い肉の棒が突き立ち、出入りを繰り返している。
棒が動くたびに智香の体が震えて甘い声が上がる。
引き抜かれてくる竿には白く濁って泡立った愛液が纏わりつき、押し込まれていくと粘液が掻き混ぜられる水っぽい音が響く。
太い棒が綺麗な筋を無惨に押し拡げ、抜き差しのたびに内側に収まっていた肉を引き摺り出し、形を歪めている。
それはあまりにも生々しい光景だった。今、最愛の妻が自分以外の男に股を開き、
信じらないほど大きなものを受け容れて雌になっているのだという現実を最も強烈に伝えてくる光景だった。
自分しか知る者のいない穴の味を別の男が味わっている。
自分など比べ物にならないほどに逞しいものが妻の小さな裂け目を我が物顔で征服している。
そう思った瞬間、信じられないほどに勃起しているものの付け根がかっと熱くなった。
「うあっ……!」
友一は触れてもいないのに射精していた。
勢い良く飛び出した白い液体はベッドまで飛び、丁度、智香の顔のすぐ横に着弾した。
中学生のような飛距離だった。
これ見よがしに腰を振って智香の中を掻き回しながらサトウが言う。
「あ、奥さん、見てくださいよ。旦那さん、奥さんと僕が繋がってるところ見ただけでイッちゃいましたよ。
しかも、あんなに飛ばしたのに、まだビンビンです」
「う、嘘、ユウくん……見てるだけで……?」
愕然とした問いかけに友一は答えられなかった。驚いているのは彼も同じだった。
自分が智香の痴態を目にして射精してしまったという事実は強烈過ぎて、それ以外のことを考えられなくなっていた。
すかさずサトウが上体を倒して智香に覆い被さる。
「そうですよ。旦那さんは、奥さんが僕に抱かれて可愛い声を出すのを聞いて喜んでるんです」
「そんな……ユウくんが……嘘……」
「嘘じゃありませんよ。見ただけでイクなんて、本当に喜んでなきゃ無理ですよ。
だから、何も遠慮なんかしなくていいんですよ。
僕に抱きついて、好きなだけ気持ち良くなっちゃっていいんです。
旦那さんのことは気にしないで、僕のチンポで気持ち良くなっちゃってください」
智香の返事はなかったが、絡みつく手足に力が籠もり、上げる喘ぎが一層の艶を帯びたことが、彼女の内心を端的に表していた。
サトウの動きが激しくなった。しなやかに体を波打たせ、叩き壊すような勢いで腰が智香の体にぶつけている。
智香はそれを悦んで受け容れているようだった。
高らかな嬌声が上がり、結合部からは下品な水音が響く。友一が聞いたことのない声、立てたことのない音だ。
「駄目ェっ、イクッ、イッちゃうよぉっ!」
「いいんです、イッてください、僕のチンポでイッて……!」
はしたない声を上げて悶える智香をサトウの腰が一層激しく責め立てる。
智香は絶叫するような声を上げて体を反り返らせ、痙攣するように震えた。
それでもサトウは責めをやめない。体の下で跳ね回る柔らかい体を抱き締め、無慈悲に腰を遣い続けている。
「駄目っ、やぁっ、も、イッ、イッてるのぉっ! 駄目なのぉっ、やだやだぁっ、気持ち良過ぎて怖いよぉっ……!」
悲鳴のような嬌声を上げながら、智香が何度も何度も体を反らして痙攣する。断続的に達しているのだ。
友一はそそり立ったものを扱き立てながらその様子を見守った。
今まで見たこともない激しい乱れ方に、今までにしたこともない激しい責め。
全てが自分以外の男に為されたことだと思うと、気が狂いそうな熱が下腹部に溜まり、呼応するように他の部分の熱が冷えていく。
下腹部に溜まった熱が爆発して飛び出し、床に空しく飛び散った。
荒い息をつきながら眺める先では、声と音が続いていた。
だらしなく力を失ったものがまた硬さを取り戻し始めた頃、唐突に、サトウが繋がったままの智香ごと体の向きを変えた。
二人の尻が友一の側を向き、生々しい結合部が晒された。
毛に覆われた筋が痛々しく拡がって太い肉棒を咥え込んでおり、
その下では、友一が今までろくに見せて貰ったこともない、慎ましい肛門がいやらしく収縮と弛緩を繰り返している。
削岩機のように肉の杭が打ちつけられるたび、尻の肉が震え、握り拳ほどもある袋が会陰に押しつけられて形を変える。
肉棒が引き抜かれると、中の肉が名残惜しげに引き摺り出され、泡立った愛液が零れ出す。
食い入るようにその部分を見つめていると、サトウが荒々しい息遣いと共に言った。
「キジマさん、今から奥さんの中に出しますよ! 初めての中出し、よく見ててくださいね!」
腰の動きが激しくなってしばらくした頃、サトウが「出る!」と叫び、ぐっと腰を智香に押しつけた。
密着した結合部が震えているのを友一は見た。僅かに覗く肉棒の付け根が不気味に脈動している。
今まさに最愛の妻の体内に別の男が精液を注入している。そのことが友一には痛いほどにわかった。
「奥さん、中で出してますよ。わかりますか」
「あ、熱いっ、熱いのがっ、びゅっびゅって……」
うわごとのような声を智香が上げる。
下腹部が熱くなり、熱が爆発する。震えるものから精液が飛び散り、ベッドを汚した。
友一のものが力を失っても、サトウの射精はまだ続いていた。力強く脈動して智香の中に精液を注ぎ続けている。
友一の何倍もの時間をかけてたっぷりとした射精を済ませたサトウは、
余韻を楽しむように腰を動かした後、ゆっくりと腰を引いた。
まだ硬さを保ったままの巨大なものが、内側の肉を引っ張り出すようにして姿を現した。
ぐちゃぐちゃになった筋はぽっかりと口を開け、そこからは半ば固形物のような白濁液が見えていた。
「あ、ああ……」
友一はまだ手の中でペニスが硬くなっていくのを感じながら、茫然とその破滅的な情景を眺めた。
サトウが智香の背後に回り、後ろから抱えるようにして支え起こす。
全身を火照らせて汗だくになった智香が、友一と向かい合った。
「や、やだぁ、ユウくんに、見られちゃうよぉ……」
「見せてあげた方が旦那さんも喜びますよ。さあ、たっぷり中出しされちゃったオマンコ見せてあげましょうね」
智香の胸を後ろから我が物顔で揉みしだきながら、サトウが微笑む。
「ほら、見てください、キジマさん。凄く具合がよかったんで、奥さんの中にこんなに出しちゃいました。
僕のは濃いから、ひょっとすると出来ちゃうかもしれませんね。まあ、ピルがあるから関係ないですけど。
さあ、奥さん、旦那さんに、初めての生入れ中出しの感想を聞かせてあげてください」
「ユ、ユウくん……」
「……智香っ!」
蕩けた顔で智香が友一を見る。
「ごめん……ね。ユウくん以外の、人に……されて、気持ち良く、なっちゃった……
訳がわからないくらい……良く、なっちゃったの……ユウくんのじゃない、おちんちん……を、
ゴムをつけないで、入れられちゃって……ユウくんにもして貰ったことないのに、
中で、精液、出されちゃったの……ごめんね……ごめんね……」
聞きたくない。そう思いながらも、なぜか友一は、遮ることも、耳を塞ぐこともできなかった。
「初めての生チンポどうでした? 僕のチンポは良かった?」
「す、凄く、良かった……サトウくんの……おっきくて……硬くて……ごつごつしてて……
お腹の中、一杯で……良いところに、一杯、当たって……」
「僕のチンポ、好き?」
智香が顔を真っ赤にしながら小さく頷く。
「ちゃんと言葉にして欲しいな」
「……好き」
「何が?」
「……ううっ……サ、サトウくんの、おちんちんが……」
「嬉しいなあ。それで、初めての中出しはどうでした」
「中で……おちんちんがびくびくってなって……ぎゅうって抱き締められて……
熱いのが一杯出てきて、お腹の中が温かくて……気持ち、よかった……」
「またされたい?」
「……うん」
もういいだろう。智香を返してくれ。そう言おうとするよりも早く、ぐったりとした智香をサトウがそのまま抱え上げた。
水っぽい放屁のような音が鳴り、股間から白く濁った体液が零れ出す。
「じゃあ二回戦目いきましょうか。いいですよね、キジマさん」
友一は咄嗟のことに、半ば反射的に首を縦に振ってしまった。
妻が雌になる姿を、今までに見たことのない姿を、もっと見たいと、
心の片隅で思っていたのが表に出てしまったのかもしれない。
その体液を滴らせる部分がゆっくりと動いていき、体液に塗れて光りながら猛る黒々とした肉の棒の先に触れた。
あれよあれよと言う間に尻が下ろされていき、その大きなものが肉の裂け目を再び押し拡げながらめり込んでいった。
サトウの膝に乗って友一に向かって脚を開くような形で、二人が再び繋がった。
サトウが腰を遣って突き上げ始めた。酔っ払いでもしたかのような嬌声が上がった。
「あひぃっ、そんなっ、んっ、ゆ、許してぇ……こ、こんなの、ユウくんに、全部、見られちゃうぅっ!」
「見て貰うのに意味があるんですから、いいじゃないですか。ほら、奥さん、まだまだ硬いでしょ。
これが軟らかくなるまで気持ち良くしてあげますから、楽しみにしててください」
割り込むタイミングを逃した友一は、どうすることもできなかった。
涙目になって顔を引き攣らせて椅子に座り、
妻の体内を貫いているものに比べれば惨めとしか言い様のないものを握り締めることしかできなかった。
目の前では貫かれて乱れる妻の全身が躍っていた。
友一の目には、智香が自ら腰と尻を振っているようにすら見えた。
「キジマさん、奥さんの筋みたいなオマンコ、
元に戻らないくらいぐちゃぐちゃにしてから返しますから、楽しみにしててくださいね」
悪魔の笑い声が聞こえた。
サトウと智香の交わりは延々と続いた。肉と肉がぶつかる音。粘り気のある水音。荒い息遣い。
甲高い嬌声。甘えるような声。ベッドが軋む音。こうした情交の艶めかしい音が途絶えることはない。
上になり、下になり、右から左から、前から後ろから、サトウが智香を責め立て、智香が快楽に蕩ける様を見せつけられた。
恥ずかしいからとずっと拒まれていた騎乗位や後背位も見せつけられたし、
その際には、やれ「奥さんのお尻の肉最高ですよ」、
やれ「お尻もいいですけど、太腿が腹に当たる感触も気持ちいいですよね」と、聞いてもいないのに感想を語られさえした。
サトウの腰に跨って腰を振り、友一に向かって四つん這いになってサトウに尻を捧げ、
智香は快楽に叫び、注ぎ込まれる精液を悦びの声を上げて飲み込んだ。
友一は悪夢のような時間の中で、最愛の妻が他の男によって雌にされていく様を凝視し、
憑かれたように股間のものを扱き立てていた。半ば腫れ上がって疼きと痛みを発するそれは、
既に何度も精液を放ち、最早出すものなど残っていないにも関わらず、一向に収まる気配を見せない。
正上位で絡み合う二人が体の向きを変えて友一に尻を向け、結合部を見せつけた。
射精の予告だ。サトウの動きと共に情交の音が一層激しくなり、やがて一気に終息に向かった。
既に何発も撃ち出しているのに逞しさを保ったままのペニスが震え、
涎を垂らして絡みつく肉の穴に大量の体液を注ぎ込んでいくのがわかった。
組み敷かれた智香の手足はしっかりと絡みつき、サトウを受け容れ、求めている。
「あ、ああ、出てる……まだこんなに、沢山……熱いの……これ、好きぃ……」と夢見心地で呟きながら、体を震わせている。
友一からすれば冗談としか思えない長い射精を終えたサトウが上体を起こした。
「あんっ、待って、タロウくん……離れちゃ嫌ァ……」
抗議の声を上げて智香が手を伸ばす。
その手に導かれるままに上体を倒し、キスの雨を降らせながらサトウが甘く囁く。
「そろそろ交代してあげないと旦那さんが可哀想だよ、トモカ。
旦那さんの相手もしてあげなよ。そうしたらまた可愛がってあげるから」
いつの間にか、その口調からは丁寧語が消え、呼び方も名前に変わっていた。
智香も同様で、サトウのことを名前で呼ぶようになっていた。
酷く親しげな二人の態度からは、肉体の距離だけでなく、心の距離までもが縮まっていることが窺い知れた。
間に何も入り込めない、密着状態と言えるほどに。
智香が甘ったるい声で言う。
「でも、タロウくんの、まだ硬いよ……もっと……欲しい……」
「旦那さんはいいの?」
「だって……」
「あれ、もしかして、旦那さんのチンポより俺のチンポの方がいいの?」
智香は何も言わずに友一を一瞥した後、何かを堪えるように目を逸らし、微かに頷いた。
「そうか。トモカは旦那さんのチンポより俺のチンポの方が気に入っちゃったんだ」
智香が再び頷く。
「ちゃんと言葉にして欲しいな。旦那さんにも聞こえるように、はっきりと言ってご覧。でないと抜いちゃうよ」
「そ、そんなの、言えない……」
「今は正直になっていいんだよ。その方が旦那さんも興奮するから……ね。
言ってくれたらまたたっぷり可愛がってあげるよ。こんな風に」
囁きながらサトウが腰を軽くくねらせる。サトウの下で智香が悦びの声を上げた。
「ほら、こんな風にしてあげるから」
友一は固唾を呑んで智香の反応を待った。既に勝敗は明らかだったが、
智香が敢えてそれを言葉にして形にするのかどうか、そのことが自分と智香の関係の、
決定的な分岐点であるように思えた。
「……タ、タロウくんのお、おっきい、お、おちん……ちんの方が……好き、なの……ユウくんのじゃ……駄目……」
この瞬間、初めての生挿入や初めての中出しをサトウに奪われた時以上の衝撃が友一に襲いかかった。
何か決定的なものに亀裂が入ったのを彼は理解した。
「旦那さんのじゃない方が好きなんてやらしいね、トモカは。
じゃあ好きだって言ってくれたことだし、たっぷり気持ち良くしてあげるよ。
あ、そうだ、旦那さんに謝っておかないと駄目だよ。今日は俺とエッチするから相手をしてあげられませんって」
「う、うん……」と頷き、申し訳なさそうに友一の顔を見た。「あの、ごめんね、ユウくん……
私、タロウくんとするから、今日は、その、相手をしてあげられないの……ごめんね、本当にごめんね……」
「お、おい……」
あまりのことに友一が何かを――それが何かは本人にもわかっていなかった――口走ろうとするも、
その発言はこの場の誰にも待ち望まれてはいなかった。
「よく言えたね、偉いよ、トモカ」
「は、恥ずかしかったよぅ……」
二人は甘い声をかけ合いながら、水気に富んだキスを交わし、そのまま絡み合った体を蠢かせ始めた。
友一の口から出かけた言葉はそのまま消えた。
腰を遣って智香を責め立てながらサトウが言う。
「ねえ、トモカ。今日だけなんて勿体無いと思わない? また逢いたいと思わない?」
「え……でも……」
ちらりと智香が友一を見る。
「旦那さん抜きでさ、俺と二人で一日中気持ち良いことしようよ。
トモカの大好きなチンポで、沢山気持ち良くしてあげたいんだけど、駄目かな」
「そ、それは……嬉しいけど……ユウくんに悪いし……」
「旦那さんがオーケー出せばいいってこと?」
智香が無言で頷いた。
「だそうですよ、キジマさん。僕達が二人で逢ってセックスするの、許可してくれませんか」
「お、お前、ふざけるのもいい加減にしろよ! 触るだけっていう最初の約束も破って……
挙句にまた会わせろだって? 冗談も大概にしろ!」
組み敷いた智香を啼かせながらサトウが涼しげに応じる。
「全部キジマさんがオーケーしたことじゃないですか。おまけにオナニーまでしといて……
自分が許可出しておいて、後になって結果に納得できないから怒るなんて、そんなのないでしょう。
トモカがこんな風に僕のチンポを好きになったのも、全部あなたが悪いんですよ。自業自得です」
「あっ、んぅ、ユ、ユウ、くん……」
激しく貫かれながら智香が友一を呼ぶ。
「な、何だ、智香、どうしたんだ」
「ね、ねえ、お願い……私、今日だけじゃ、嫌なの……またタロウくんに、逢いたいの……お願い、許して……」
友一の思考は、一瞬、真っ白になった。
今まで我儘一つ言わなかった智香。
いつも彼の後ろに隠れていた智香。
もう少し自己主張をするようになればよいと思っていた智香。
自分の言うことを聞いてばかりでなく少しは我儘になってもよいと思っていた智香。
その智香が、知り合い、想い合い、愛し合ってから初めて、我儘を口にした。初めて、自分に逆らった。
その今までずっと友一が待ち望んでいた瞬間は、しかし、最も残酷な形で彼の元に訪れた。
決定的な亀裂がどんどん広がっていくのがわかった。もう修復はできない。
「あっ、でも、でも、タロウくんにして貰わない時は、ちゃんとユウくんにもさせてあげるから……」
して貰う、と、させてあげる。
それは智香の心の中で友一が占める位置の決定的な変化をこれ以上ないほど端的に示したものだった。
もう本当にどうしようもないのだ。友一は眩暈を感じて椅子に背を預けた。
息苦しさを振り払うようにして二人に告げる。
「……ああ、いいよ。もう、好きにしろ」
返事は言葉ではなかった。激しい情交の音と、智香が上げる歓びの声だった。
「トモカ、もし出来ちゃったら、俺の赤ちゃん産んでくれる?」
「ひっ、ん、でも、ユウくんが……」
「旦那さんが、じゃなくて、トモカはどうしたい?」
「う、産みたい……タロウくんの赤ちゃん産みたいよぉ……」
「そう。じゃあ、ピルはトモカにあげるから、どうするかは二人で決めてね」
「うん、うんっ、わかったよぉっ、ユウくんにお願いして、許して貰えるように、頑張る、ねぇ……」
男女の音に混じって聞こえてくる心を削るような会話は、友一には全く意味の理解できないものだった。
わかっているがわからない。聞こえているが聞こえていない。無意識が理解を拒絶している。
友一は目の前で絡み躍る肉体を茫然と眺めながら、この破局の原因を考えた。
結局、悪いのは友一自身だったのだ。
倦怠期に根気強く向き合うのではなく、即効性のある劇薬に安易に手を出した怠け心。
他の女を抱いてみたい、他の男に抱かせてみたい。そんな性的好奇心を満たすために、神聖な夫婦の絆を踏み躙ったこと。
いくつも破滅を回避する選択肢を提示されていたにも関わらず――考えてみれば、いつも決めたのは友一で、
サトウは決断そのものは常に友一に委ねていた――好奇心を自制心で押さえられず、それを選べなかったこと。
何もかも責任は友一に帰する。悪いのは彼自身だった。
これは自分の救いがたさに与えられた罰なのだ、と彼は思った。
だから、甘んじて受け入れよう。智香に他の男に抱かれるように強いた以上、それで生まれた結果は全て引き受けよう。
智香が他の男との関係を望むなら、目覚めさせてしまった責任を取ろう。
貴島智香という清楚で真面目な女を破壊してしまったツケを支払おう。
友一はそう決心した。
だが、自分一人が報いを受けることに納得できるほど、友一は器の大きい男ではない。
彼は自分が報いを受ける以上、他の連中も報いを受けなければ納得がいかない。
携帯電話から例のスワッピング募集サイトにログインし、T・Sのプロフィールページを開く。
信頼度評価画面を開き、評価を入力する。
「最高」にチェックを入れ、「ペニスサイズもテクニックも言うことなし! まだ若いのに凄い人です。
妻と一緒に今までにないくらい燃え上がりました。
妻も何度もイカせて貰ったと大喜びです。良い体験をさせていただきました」と感想文を書く。
T・Sは夫婦や恋人の絆を踏み躙る馬鹿共のために用意された報いだ。
そういう連中は精々、高評価のスワッピング相手を探し出して最愛のパートナーを差し出し、一生残る悔いを抱けばよいのだ。
評価を送信した友一は携帯電話を投げ捨て、手で顔を覆い、声を上げて泣いた。
ベッドの上では鳴り止むことのない男女の生々しい音が響き続けている。
・年下の嫁が俺の友人とデートしてキスまでしていた4
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