前回の話
映画館で、こんなオナニーまがいの事をする事になるなんて、夢にも思っていなかった。涼子は、周りを気にする様子もなくキスを続けている。
直道の方が、少し周りを気にしている素振りを見せている。周りは、客もまばらだ。そして、映画に集中している。
こんな風に、イレギュラーな事をしているのは俺たちくらいだと思う。涼子が、他の男とキスをしている……しかも、自分から積極的に。
俺が見ているのをわかっていて、挑発している? でも、それにしては一切こちらを見ないし、感情をこめてキスをしているように見える……。
ただ、それ以上の事はなく、二人はまた映画を見始めた。俺は、股間をまさぐるのをやめてチラチラと二人を気にしながら映画を見続けた。
二人は、結局手を繋いだまま最後まで過ごしていた。本当の恋人同士のような態度だ。そして、映画が終わって退場した。俺は、直道に気がつかれないようにタイミングをずらして退場した。
映画館を出ると、二人はやっぱり手を繋いで歩いていた。二人は、楽しそうに会話をしながら歩いている。距離があるので内容まではわからないが、弾けるような涼子の笑顔を見ていると、嫉妬でモヤモヤしてしまう。
そして、二人はそのまま歩き続け、公園に入っていった。大きな公園だが、林みたいになっている遊歩道などがあり、人影もまばらだ。
どんどん歩いて行く二人。少しして、ベンチに座った。俺は、木に隠れるようにして二人を見つめた。かなりの距離を取ったので、会話は一切聞こえてこない。
楽しそうに笑いながら話を続ける二人。デートをする姿は、恋人同士にしか見えない。そして、すぐにキスを始めた。二人とも、待ちきれないという感じで激しく舌を絡めている。
俺は、ドキドキしすぎて吐きそうだ。映画館でのキスも衝撃的だったが、わざわざ公園まで移動してキスをする二人に、不安が爆発しそうだ。
長いキスが続く。こんなに長いキス、した事あったっけ? そんな風に思ってしまうようなキスだ。でも、急に慌ててキスを止めた。
すぐに、ジョギングの人が通りかかった。俺もドキドキしてしまった……。
二人は、その中断で冷静になったようだ。顔を見合わせて笑うと、歩き始めた。やっぱり手を繋いでいるが、なんとなく熱が引いたような雰囲気だ。
実際、そのまま二人は歩き続けて駅に着いた。そして、そのまま二人は別れた。俺は、ホッとしながらも、強烈なキスだったな……と、落ち込んでいる。
すると、スマホが鳴った。
「合流しよ」
可愛らしいハートマークや絵文字に囲まれたメッセージだ。ふと顔を上げると、駅の階段のところに涼子が立っている。そして、こっちを見てニヤニヤしている……。
慌てて駆け寄ると、
「ずっと見てたでしょ。映画の時も、見過ぎだよ」
と、からかうように言う彼女。気がついていたんだなと、ちょっと怖くなってしまった。俺は、なんでキスしたのかと聞いた。
「なんで? 好きになったからだよ。決まってるじゃん」
涼子は、真っ直ぐに俺を見つめながら言う。俺は、その言葉にショックを受けながらも、どうしてもう解散したのかと聞いた。まだ時間はそれほど遅くない。
「……したくなったから。エッチしたくなっちゃったから。ねぇ、ホテル行こ」
涼子は、今まで見せた事がないような、発情顔だ。こんな表情が出来るんだなと、ゾクゾクッとしてしまった。
そして、坂の上の方のホテルを目指して歩いた。涼子は、手を繋ぐのではなく、腕を絡めてきた。小ぶりな胸でも、こうやって腕を絡めると当たってくる。柔らかい感触に、ドキドキし始めた。
「ヤキモチ焼いてる?」
涼子は、そんな質問をしてきた。ストレートすぎる質問に、思わず笑ってしまいそうだ。でも、こんなにも俺に執着心を見せる事に、嬉しい気持ちが膨らむ。
俺は、正直に嫉妬していると告げた。キスをしている姿を見て、身もだえしたと告げた。
「フフ、嬉しいな。もっとヤキモチ焼かせるね」
涼子は、イタズラっぽく言う。俺は、涼子がエスカレートしそうで怖いなと思った。キスをしたと言うだけでも、充分にショックだ。浮気と言って良いと思う。
ホテルの部屋に入ると、涼子に押し倒された。ベッドにもつれるように倒れ込みながら、キスをしてくる。興奮した顔で舌を差し込み、俺の口の中をメチャクチャにかき回す。
「すぐ来て……我慢出来ない」
涼子は、顔を真っ赤にしながら言う。恥ずかしそうにしているが、興奮が上回っているような雰囲気だ。俺は、すぐにズボンとパンツを降ろしてコンドームをつけた。
涼子も、スカートをまくり上げてショーツを降ろしている。
見ただけでわかるほど濡れた膣周り。俺は、興奮しきった気持ちで挿入した。
「あぁっ、固い。ケンゾーの、カチカチになってる」
涼子は、嬉しそうにうめく。俺は、すぐに腰を動かし始めた。いつも以上の興奮に包まれながら、夢中で涼子を責め続ける。
「気持ちいい。ケンゾーの、すごく固い。もっとして、愛してる」
涼子は、声がうわずっている。本当に気持ちよさそうで幸せそうだ。でも、俺は腰を動かしながら、こんなに興奮して濡れているのは、アイツのせいだと思い始めている。
アイツとセックスしたいと思って、涼子はこんなに濡れている……そう思うと、嫉妬でおかしくなりそうだ。俺は、興奮しながら、アイツとしたかったんじゃないかと聞いた。
「したかった。抱いて欲しいって思った。キスしてるだけで、イキそうになってた」
涼子は、激しく乱れながら叫ぶ。俺は、嫉妬に燃えすぎてなにも言えなくなった。そして、激しく腰を振り続けながらキスをした。
直道に、抱かれる涼子……想像しただけで呼吸が苦しくなる。でも、興奮と快感が信じられないくらいに高まっていく。
「固いよ、もっと固くなった。興奮してる? 見たいって思ってる?」
涼子も、声がうわずりすぎて震えている。こんなに興奮した声を聞かされて、俺は堪えきらなくなった。イキそうだと告げると、
「まだダメっ! もっとしてっ、直道さんとしちゃうよっ!」
と叫んだ。
俺は、その言葉をきっかけにしたように、あっけなく射精をしてしまった……。
「ああっ、ダメなのに……早いよ、興奮しすぎだよ」
すねたように言う涼子。でも、抱きつき手キスをしてくれる。甘えたように俺の身体にキスをしながら、幸せそうに微笑む彼女……でも、今日アイツとキスをしてしまった……。
「ケンゾー、燃えてたね。そんなに嫉妬しちゃう?」
涼子は嬉しくて仕方ないという顔だ。女性として、嫉妬されるのは嬉しいのだろうか? でも、キスをしてしまった罪悪感はないのだろうか?
俺は、本当にアイツとセックスしたいと思ったのかと聞いた。俺を煽るために言っただけなのか、判断がつかない。
「キスしているときは、したいって思った……すごくしたくなってた。直美さんの事、好きだから……」
涼子は、きっぱりと言う。もともと好意は持っていたようだが、あのデートで決定的になったみたいだ。
「でも、しないよ! さすがに、それはケンゾーに悪いし……」
涼子はそんな言い方だ。したいけど、俺のために我慢する……そんな風に言われると、嫉妬でおかしくなりそうだ。
俺は、今後のアイツとのデートで、迫られたらどうするつもりなのかと聞いた。
「え? またデートして良いの?」
涼子は、キョトンとした顔だ。俺は、完全に次があるものだと思っていた。涼子に、デートしたくないの? と聞いてしまった。
「したいよ。でも、ケンゾーイヤでしょ? キスとかするのは、やり過ぎでしょ?」
涼子は、俺の心を探るような感じだ。確かに、イヤだ。でも、興奮してしまう……。
「そうなんだ……やっぱり、ケンゾーは寝取られ性癖なんだね。変なの」
おどけたように笑う涼子……でも、すごく興奮しているように見えてしまう。
「迫られても、最後まではないよ。だって、それは浮気になっちゃうでしょ? 手とかで我慢してもらうよ」
涼子は、そんな回答をした。キスとか手コキなら、浮気ではない……女性特有の超理論だろうか? でも、俺はそうだねと言って微笑んだ。
翌日、直道と昼を食べた。
「涼子ちゃんから聞いてる?」
少し緊張気味の彼。俺は、聞いていると伝えた。
「そっか。なんか悪いな。ちょっとやり過ぎた」
直道は、さすがに反省しているみたいだ。友人の嫁とデートしてキスをするのは、どう考えてもやり過ぎだ。でも、俺は気にしてないと告げた。
「マジで? ホントなんだ。寝取られ好きってヤツ?」
直道は、不思議そうな顔で言う。どうしてそれを? と聞くと、
「涼子ちゃんから聞いた」
と答えた。そんな事まで話しているんだなと思ったが、逆に都合が良いと思った。
「え? 最後までって、セックスってこと?」
直道は、ビックリした顔になっている。俺は、うなずいた。
「いや、それはさすがにマズいでしょ。オマエは、良いの?」
直道は、かなり動揺している。俺は、良いと答えた。
「なんで?」
直道は、意味がわからないという顔だ。俺は、涼子がそれを望んでいるからだと伝えた。
「そうなの? そっか……嬉しいけど、なんか複雑だわ」
直道は、迷ったような顔になっている。無理もないと思う。
「じゃあ、デートはさせてもらうよ。悪いね」
そう言って、直道は会社に戻っていった。俺は、とうとう言ってしまったと思った。これで、最後まで行ってしまう可能性はぐんと上がったと思う。
自分でも、なぜそんな事を望んだのかわからないまま、俺は勃起しすぎて射精しそうになっているペニスを落ち着かせようとした……。
その日の夜、家に帰ると、
「お疲れ様。直道さん来てるよ」
と、涼子に笑顔で出迎えられた。俺は、昼間あったばかりなので戸惑ってしまった。そして、涼子を観察した。何か変わったところはないか? 髪が乱れてたり、スカートが前後ろ反対になっていないか……そんな事を見てしまった。
でも、取り立てて変化はなさそうだ。いつ来たの? と聞くと、
「1時間くらい前だよ。先に食べてもらってる」
と言いながら、リビングに移動した。
「お疲れ~」
直道は、笑顔で挨拶をしてきた。確かに、もう夕食を食べ始めている。でも、やっぱり取り立てておかしなところはない。
俺も着替えて食事を始めた。今日はどうしたの? と聞くと、
「涼子ちゃんと、デートの打ち合わせ」
と、楽しそうに答える彼。涼子は、はにかんだように頬を赤くしながら、
「土曜日、ドライブしてきて良い?」
と聞いてきた。もう、デートの打ち合わせは終わっているようだ。俺は、良いよと答えた。
「ありがとう! ゴメンね、せっかくの週末なのに」
涼子は、そんな言い方をした。週末? と聞くと、
「う、うん。泊まりで行ってくる」
と、緊張したような顔で言った。
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